実は法律には、過分な贈与によって相続の公平性が崩されないような仕組みや、贈与税と相続税が関連しているものがあります。少し複雑ですが、ご紹介します。

贈与による特別受益と相続

特別受益とは、被相続人から受けた特別な利益のことを言います。生前に財産を受け取っていたり(生前贈与)、遺言や贈与契約によって死後、財産を受け取っていたりした場合(遺贈や死因贈与)が該当します。
特別受益が発生しているのにもかかわらず通常の法定相続分通りに遺産分割してしまうと、他の相続人の相続が少なくなってしまい、不公平が生じてしまいます。そのような不公平を解消するために、法律で、相続発生時の相続財産に特別受益分を加味する「持戻し計算」というものが定められています。
持ち戻し計算とは、遺産の総額に特別受益分の財産を足した「みなし相続財産」をもとに、法定相続分に応じて相続人に財産を分けていきます。このとき、受益者の取り分から特別受益の分が差し引かれます。
ただし、遺言で『特別受益の持ち戻しを免除する』と明記されていれば、他の相続人が要求しても特別受益の持ち戻し計算をすることはできなくなります。また、法定相続人のうちの誰も特別受益の主張をしなければ、持ち戻しなどはされずに、相続が進んでいきます。

贈与税の納め方

贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税制度があります。
暦年課税とは、その年もらった合計額で申告します。複数の人からもらった場合、もらった合計額が基礎控除110万円を超えると、その超える部分に贈与税がかかります。110万円以下なら贈与税はかからず、非課税となり、贈与税の申告は不要です。しかし、贈与する人が亡くなった時、それまで贈与されていた人が法定相続人である場合は、遡って3年分が相続税の対象になります。
相続時精算課税とは、 贈与する人が60歳以上で、子供か20歳以上の孫に贈与する場合に、利用できる制度です。贈与が2500万円に達するまでは贈与税がかからず、2500万円を超える場合はその超える部分に20%の贈与税がかかります。贈与する人が亡くなった際に、相続税の計算に贈与財産を含めて相続税を計算し、この相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払う、または還付を受けることになります。