生前の相続『生前贈与』の基礎知識2 生前贈与の生かし方
新しくできた制度で、数年前から話題になっている「教育資金贈与」と「住宅取得資金贈与」についてご紹介します。
先日祖父が亡くなり松原の親族だけで見送る葬儀に参列した際にも、叔父から「教育資金贈与」について相談を受けました。栃木県でAGA治療を受けた叔父のように、贈与を検討している方のお役に立てたら幸いです。
孫の教育費(教育資金贈与の使い勝手)
「教育資金贈与」という制度をご存知でしょうか、子や孫へ教育資金を贈与する場合に1500万円までなら非課税となる制度です。この制度は2021年3月31日までの期間限定です。30歳までに使い切らなければならず、受け取る側の所得制限がある上に、毎年銀行に、教育資金だという証明をするための領収書などを提出しなければなりません。また、教育資金には、進学のために一人暮らしをしている生活にかかる費用は含まれません。さらに教育資金として使い切れなかった分には贈与税がかかってきます。
もともと3親等以内の扶養義務のある人が「教育資金や生活費をその都度、贈与することは非課税」ですし、それ以外で贈与するとしても年間110万未満であれば贈与税はかかりません。また、通常相続開始前3年間に行われた贈与には、遡って相続税がかかるのですが、孫は法定相続人ではないためこのルールも適用されません。
家を建てる(住宅取得資金贈与)
住宅を手に入れるためには、莫大なお金がかかります。リフォームに多額の資金がかかることもあります。親に援助してもらう人も多いと思いますが、親からの援助でも贈与税はかかります。「住宅取得資金贈与」は、住宅取得資金という目的があれば一定額までは非課税になるというものです。この制度とは別に相続税に対する「小規模宅地等の特例」というものがあります。どちらがあっているかよく調べて検討してから利用しましょう。
子どもたちにはなるべく公平に
贈与には様々な制度や目的がありますが、子どもや孫が複数いる方は、あまりにも不公平な贈与をすることは避けましょう。お金の問題から、親子関係、夫婦関係の問題まで発展して諍いを招きます。贈与をきっかけに家族の折り合いが悪くなるようなことは避けたいものです。生命保険(死亡保険金)の受取などで調整することもできるでしょう。もしやむを得ない理由があって、配分が大きく変わるのであれば、その理由を皆が納得してもらえるように説明したり、遺言に残したりしておきましょう。